コロナの影響で、仕事の仕方が大きく変化した方は多いと思います。
仕事だけではありません。
子どもたち、学生さんの学校生活も、この2年で大きく変化してきました。
タブレット学習の定着、頻繁な学校閉鎖、学年閉鎖・・・
「今週いっぱい休みなんです。」
というお話を何度も耳にしました。
そして、音楽家を志す学生のコンクールにも、その変化は同じようにやってきました。
コロナによって変化したコンクール
コロナの感染者の増減の波。
それに合わせて、演奏やコンクールも開催方法がころころ変わるようになりました。
オンラインコンサート、オンラインコンクール
私が伴奏するはずだった学生コンクールも、直前に開催方法が変更になったのです。
もしもの場合は録画審査で
高校生の管楽器のソロコンクール。
2月に開催予定で、合わせをして本番に備えていました。
その時点で、もしもコロナ陽性になった場合は会場で録画した演奏を流す可能性がある(アンサンブルコンクールはそのような対応だったそう)ということで、提出用の映像も録画。
当日の演奏があると思っていたので
「じゃあ、本番の会場でね」
と合わせを終えたのですが・・・
結局全員録画審査に
1週間を切ったところで
まさかの全員録画審査に💦
ソロコンクールだから開催されるんじゃないかと思っていたのですが、
受験シーズンということもあってか、危険回避でそのような形が取られました。
結果は・・・見事通過
おめでとう!!
録画審査は、スクリーンに映したのか、テレビに映したのか。
審査員の先生方は、会場審査同様静かに聴いてくれたのか、それともおしゃべりしながらゆるーく聴いていたのか。
疑っているわけではありませんが、どんな風に審査してくださったのかが少し気になりつつも、次に向けて気持ちを新たにしたのです。
県大会も早々と録画に決定
次の審査、県大会はすぐに「先日と同様録画審査になりました」と連絡が。
納得のいく演奏を撮り直したいということで、また一緒に演奏できたのはうれしかったですが、審査員の先生方の前でとはいきませんでした。
ホールを借りて録音し、あとはコンクールが開催されるはずだった日に行われる発表を待つことしかできません。
「こんなに感染者が増えているのだから当たり前。」
「感染対策して出場者の接触を避ける工夫をすればできたのではないか?」
色々な意見があると思います。
私も思うところは色々ありますが
動画審査やオンライン審査がわりとスムーズにできてしまうとわかった今、簡単にそちらへの切り替えで解決させてしまおうとする風潮はあるのかなと感じています。
舞台での演奏を経験できない学生たち
コンクールに受かったという結果だけが、その子を成長させるわけではありません。
舞台での演奏の経験は消えない財産で、自分の演奏を成長させるために欠かせない要素。
- お客様を前にする緊張感・高揚感
- 一発本番のプレッシャー
- 他の演奏者からの学び
どれも録画やオンラインでは感じることのできないものです。
審査員を目の前にした緊張感・舞台に立つ高揚感
録画中の赤ランプの点灯を確認して、演奏スタート・・・これも緊張感はあります。
でも、目の前に自分に意識を集中させている人が複数いるときの緊張感にはかないません。
緊張感よりもっと大きいのは、舞台で演奏する高揚感。
「あぁ楽しい、気持ちいい。」
この感覚は、誰かに届けたいという思いで演奏することでさらにはっきりと実感することができます。
録画も聴いてくれる人に向けて演奏することに変わりはありませんが、実際にその対象を目の前にした感覚とは大きく違う。
この経験の積み重ねがなく、初めての経験が音大受験だったとしたら、かなりのプレッシャーになるんじゃないかな💦
一度しかない本番のプレッシャー
その演奏は、その時その場にしか存在しない生もの。
一度きりだから思い切った演奏ができることもあれば
一度きりというプレッシャーに負けてしまうこともあります。
後者は悔しいけれど、どちらも自分にとってプラスになる経験です。
「パニックになったのは、練習不足で不安があったからだ!」
「上手くいったのは本番前にこんな言葉を思い浮べたからだ!」
自分なりに、上手くいった、いかなかった要因を分析することもできます。
録画や録音は、何度でも撮り直しがきく。
そのリラックス感で上手くいった演奏が、実際に舞台に立った時再現できるかと言われると・・・
あまりに状況や心境が違い過ぎて、そうはならないことが多いような気がします。
納得のいかない経験をしないクリーンな状態は、一度の失敗で修復不可能な折れ方をしてしまうことへとつながる可能性もある。
柔軟な若い時に、やっぱり一発本番の経験を重ねることは大きな意味があると思うんです。
他の参加者の演奏を聴いたことがない・・・
録画に付き添ってくださったお母様も、このことを残念に思っていらっしゃいました。
同じ年代の他の参加者の演奏から刺激を受けた経験、私は何度もあります。
課題曲で皆同じ曲を演奏するときなんかは特にそう。
「同じ曲?」「そんな弾き方があるの?」
こんな曲と大雑把に認知されている曲でも、演奏者によって全く違う解釈になることもあります。
学生時代は、指導者の影響も大きいですが・・・
自分にないものを持っている子をうらやましく思ったり、逆に自分の強みを知ったり。
比較というと嫌な感じですが、でも、聴き比べないと意識できないことってあると思うんです。
それが、自分の演奏を良い方向へ変えてくれるきっかけにも成りうるなら、絶対に経験した方がいいに決まってる。
コロナがもたらした学生コンクールの変化についてのお話でした
なるべく集まらず、現地開催せず、遠隔で済ませる。
社会全体の今の混乱を考えたら、仕方のないこととも言えます。
でも
「コンクールは会場で生演奏で審査しなきゃ、本物じゃないよね✨」
その考え方は、消えて欲しくない。
そして、いつか戻ってくるであろう、今までの当たり前だったコンクール。
そのいつかが、早く訪れることを願っています
ご清覧ありがとうございました♬
コメント