先日、豊田市コンサートホールで行われた新人演奏会「とよたフレッシュコンサート」を鑑賞してまいりました。
地元出身者を中心とした若くて優秀な演奏家たちの生演奏♪
もう、心洗われました。
「練習しなさいよ、あなたも」
そう自分に言い聞かせながら、最近のピアノに向かう姿勢を大反省しつつ帰路に着いたのでした(笑)
プロとして世界中に名を馳せる有名なプレーヤーの演奏は、もちろん感動も興奮も大きい。
でも、大学・大学院を卒業したばかりのこれから世に羽ばたいていく演奏家の演奏は、変にかっこつけや気取ったところがなく素直で、ストレートに響いてくるんです。
クラシックが好き、生演奏が聴きたいという方にこそ、このようなフレッシュなコンサートを是非聴いていただきたいなぁと思います。
春は新人演奏会の季節
毎年3月からGW頃までは、新人演奏会シーズン!
音楽大学卒業・大学院修了したばかりの演奏家たちによるフレッシュな演奏を楽しめるコンサートが、日本各地で開催されます。
選抜方法は、主催団体によってさまざま。
学校に団体から「新人演奏会に出演されませんか?」とご案内が来たり
主催団体に所属する方がお弟子さんを推薦したり
自分で応募したり。
全体としては、各大学の成績優秀者にお声がかかることが多いと思います。
だから、レベルが高い!!!
選曲も少しマニアックなものが多くて(卒業試験の曲を演奏することも多く、難解な作品が多いのです)
「この曲の生演奏、初めて聴いた」
そんな瞬間に出会えることもあります。
各音大・大学院の優秀な学生の演奏が一気に楽しめる
音大・大学院を卒業したら、演奏家としての道を歩んでいく・・・
実は、皆がそれを選択するわけではありません。
音楽の世界は厳しい。
演奏で食べていけるのは、本の一握り、一つまみくらいです。
教えることに全力を注ぐ子、教員になる子、一般企業に就職する子、家庭に入る子。
音楽にほとんど携わらない道を選択する子もたくさんいます。
新人演奏会が、最後の本格的な演奏会となる子だっているんです。
新人演奏会は、学生を終えたばかりの現役演奏家の演奏を一気に聞くことができる、ボリューム満点なコンサート。
成績優秀者が集められた演奏会は特にですが、非常にレベルが高いんです。
プロの演奏会って、その方の演奏しか聞けませんよね?
その方の演奏が聴きたくて行くので当たり前なのですが、新人演奏会は10人、多いと20人以上の演奏を聴くことができます。
迫力のある演奏
緻密な演奏
憑依型の演奏
演奏には正解はありませんから、さまざまなタイプの演奏家の演奏が一度で楽しめる新人演奏会は毎回心いっぱい、お腹いっぱいになる
演奏家団体のコンサートは季節を問わず行われていますが
「新人演奏会が一番レベルが高いのでは⁉」
そんな風に思うことも。
楽器のバリエーションも豊富
先日鑑賞した豊田市の新人演奏会。
大学を卒業した子やこれから大学院へ進学する子、地元出身者やこの地方にゆかりのある優秀な学生が集められた演奏会でした。
日本の音大の最高峰「東京藝術大学」出身者がほとんどで、演奏レベルはため息もの・・・
「このお値段で聴かせていただけるなんて、本当に申し訳ないです・・・」
そんな思いで、思いっきり楽しませていただきました✨
新人演奏会では、ピアノ、声楽、管楽器、弦楽器・・・さまざまな楽器の演奏を聴けることが多く、普段あまりソロで聴く機会のない楽器が登場するのも楽しみの一つ。
今回の演奏会で面白かったのが「パーカッション」。
マリンバを中央に据えて、その周りにパーカッションがずらーっと並び
手前に木魚。後ろに銅鑼。口にはハーモニカを加えて・・・
叩くツールもばちだったり、ヴァイオリンの弓だったり、手だったり、足だったり・・・
「この音楽に合わせて、パントマイムで一つの映像作品ができそう」
そんな風に思いながら聴いていました。
異なる種類の音の大渋滞
パーカッショニストさんからしたらすごく失礼な表現かもしれません💦
でも、異質な音が一気に終結する楽器って、打楽器くらいなんですよね。
だから、この作品を作る人の頭の中も、それを暗譜する演奏家の頭の中も、一体どうなっているんだろうと不思議でたまらない
ただ、動きに予測がつかない分、目で楽しむという要素がどんな楽器よりも強く、今回の演奏会でも私は一番集中して舞台に目を向けていたように思います。
オーケストラで存在感を放つパーカッションは、ピアノやその他の楽器と比べてソロで聴くことができる機会が少ない楽器です。
新人演奏会では割と出現率が多いので、パーカッションソロに興味のある方には是非足を運んでいただけたらと思います🎵
初心忘るべからず
そして何といっても、皆さんドレス姿がお美しい
色も鮮やかなものが多く、動きもシャキッとして気持ちいい。
フレッシュな雰囲気が演奏以外のところにも感じられます。
初々しいってこのことですね
新人演奏家のフレッシュさ、少しのぎこちなさを見ていると
「初心忘るべからず」
この言葉がふと頭に浮かんできます。
大人になって、上手くいかないことにたくさんぶち当たってきました。
結局は、新人の頃の音楽に対する熱い思いや、上手くいかないことがあっても乗り越えるぞという決意を忘れてしまって、卑屈になってばかりだったからかなって今は思うんです。
初心って、大切ですね✨
そんなことも、初々しい演奏姿が思い出させてくれる。
自分の原点を思い出す、上手くいかない出来事の発端ではなく、そのずっと前の自分の考えの根本にまで戻される瞬間。
それが私にとって、新人演奏会を楽しむ時間なのです。
私が経験した新人演奏会
私も実は新人演奏会経験者。
地元の団体ですが、お声を掛けていただき、出演することができました。
生まれてから今まで離れたことのない地元。
私の高校生、中学生時代を知っているピアノの先生方もこの演奏家団体に所属されていて、妙な緊張感だったことだけは覚えています。
大学を卒業して地元の新人演奏会に出演
音大卒業生が集まる新人演奏会。
ほとんど同い年なのに、私が出演した時には知り合いがほとんどおらず
ただ、団体幹部の先生方の中には、同級生のお母さんや高校の先輩のお母さんもいて
「あまりじっくり聴き耳を立てないでください💦」
と願いながら、卒業して初めての舞台を終えたことだけは覚えています。
それ以外、本当に記憶にないんです(笑)
まともに弾いたのか、卒業試験が終わってしばらくたっていて、レッスンも受けていなかったのでめちゃくちゃだったのか・・・
この頃は学歴コンプレックスが今よりさらにガチガチに私を支配していたので
プロフィールを見ながら委縮していたのかもしれません。
「そんなくだらないこと考えずに、あなたらしく弾きなさい!」
考えたって、出身大学は変えられないですからね(笑)
今声を掛けられるのなら、そう言ってあげたかったな。
伴奏者として新人演奏会に関わり感じること
自分の新人演奏会を終えて数年間は、まだ大学に残っている後輩の出演する新人演奏会に伴奏で参加することもありました。
今でも時々、お話をいただいて伴奏させていただくことがあります。
「緊張します~」
って言っている姿が可愛くて
完全におばちゃん化していますね(笑)
こういう時いつも思うことがあります。
「強がるのは損」
これはあくまで私の考えなのですが
緊張していないと言ってみたり、わざと直前までふざけた話をしたりして強がっている子の方が
演奏が小さくなって、自分の思うようにいかなくなっているように感じるんです。
逆に緊張感丸出しでドキドキしている子や、口数が減って固まっている子の方が、自分と向き合えていて本番の演奏にも魂がこもっている。
成功するか、失敗するかは置いておいて
強がってごまかすより、緊張感を認めてそのままの自分でいられている子の方が、自分の中を見つめて落ち着けているような気がするんですよね。
この気づきは、自分にも活かせること。
「わかってるって。」
「平気だから!」
損ですよね💦
強がって得られるのは、周りに頼らなくても自分はできるという間違った自立心と、ひねくれた考え。
周りにいてくれる人への印象も悪くなるし、良いことなし。
改めて、演奏で色々な方と関わりながら、人生の教訓まで学べているなと思います。
フレッシュな面々からの学びを、これからもおばさんピアニストは人生に活かしていくぞ~
気持ち晴れ晴れ!新人演奏会のお話でした
春ならではの新人演奏会。
春の風物詩、お花見は今年も自粛モードです。
少しづつ生演奏が聴ける機会が戻ってきている今、春のフレッシュな空気を感じられる新人演奏会へ、多くの方に足を運んでいただけたらと思います。
これから演奏家として羽ばたく子、新人演奏会を節目として違う道に進む子。
それぞれ大きな決意を持って立つ舞台を
客席いっぱいの観客の一人として、見守ってあげて欲しい。
私もこの春は、チラシを見ながらあちこち行こうと画策しています。
ご清覧ありがとうございました♬
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